2023年12月13日 |ブログ
先月になります、11月27日に、法律の制定後、脳死下臓器提供件数が1000件となりました。
そのため、新聞やテレビなどのメディアに取り上げられました。8月ごろからそれをみこした取材の依頼が多くなり、(その対応に追われ、また、こんな時に限って、プライベートの方も忙しくバタバタしておりました・・・)いろいろな方にお話をさせていただきました。
担当される記者の皆様が、どのようなことから移植医療に関心を持ち、そしてどのような思いを持って、ドナー家族である私に声をかけたのかということの違いも興味深く感じながら、取材を受けました。
移植医療はどこから眺めるのかという視点が異なると、全く違う景色をみせます。そのため、記者の方によって、視点が異なり、質問の内容も異なっていました。また、記者の方の反応も異なり、とても興味深く取材を受けさせていただきました。
そして、私も限られた時間の中で、何をお伝えすればいいのかを考えながら、お話させていただきましたが、難しさを感じました。少しでもお役に立てていればいいのですが。
今まで、何となく拝読していた新聞を記者の皆様の熱量と言いましょうか、読む人に伝えたいという思いが込められていることを知ることができました。とてもいい経験をさせていただきました。
記者の皆様、ありがとうございました。
そして、本題です。
臓器提供1000件、私はこの数字を社会がどのように報じるのか、そしてどのようなコメントが寄せられるのかをとても関心を持って、見ておりました。12月中旬となり、話題は終息したようにも感じます。
移植医療が社会で大きく報じられるようになったのは1960年代からと、考えますと60年か70年になります。社会も大きく変化し、少子高齢化となり、家族の形態も変化し、経済も、もちろん医療も変化しています。そのような中で、前回の臓器移植委員会でも委員の方が「否定的なコメントがなくなった」と発言してみえました。移植医療に対する社会の捉え方も、変わってきているのでしょう。そして、これからも、変わっていくのだと思います。
ドナー家族が、報道される際に仮名を用いなくてもいいと、感じられる社会であってほしいと願っています。また、そのような社会となるよう尽力していきたいと思います。
2023年12月2日に静岡県三島市にて開催されました、日本救急医学会中部地方会に参加させていただきました。登壇し、脳死下臓器提供の経験をお話させていただくことは、何度も経験のあることなのですが、その日はとても動揺してしまい、声が震えてしまいました。みなさまにはご迷惑をおかけしまして、お聞き苦しかったと思います。
自分でも驚くほど、簡単に心が揺らいでしまいます。『もう、大丈夫』そう思っていても、心は簡単にあの思いを蘇らせてしまいます。(実際に元気にしているんですけど…)何年経っても、ままならないものですね。
他の先生方のご講演を拝聴し、勉強させていただきました。各病院の取り組みは素晴らしく、たくさんの医療機関で標準的に実施されるようになるといいなと感じる家族ケアでした。
たくさんのエビデンスが積み重なり、これからの救急医療の領域の家族ケアがさらに良くなっていくと確信できるシンポジウムでした。みなさまのお話を聞くことができたこと、またその熱意に触れたことが何よりの学びとなりました。この機会をいただけましたことを心から感謝いたします。
開催にあたり、ご尽力されました皆様、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
2023年11月28日 |ブログ
11月9日に韓国のプサンで開催されました、韓日臓器提供国際シンポジウムに参加しました。
このシンポジウムは、プサンの社団法人韓国臓器寄贈協会がプサン市の支援を受け開催されました。このシンポジウムに参加させていただき、たくさんの学びを得ました。この機会をいただきました、韓国臓器寄贈協会の皆様に心から感謝いたします。ありがとうございました。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、韓国で脳死下による臓器移植が可能となったのは、1999年です。また、韓国は家族の同意によって、臓器の提供が可能となります。そして、日本と同じように、臓器提供をする場合にのみ、脳死を人の死とし、臓器提供しない場合にはそのままの治療が続けられます。
人口100万人当たりの臓器提供数は、アメリカ33.32人です。そして、韓国は8.66人、日本0.88人です。
法律が成立したの年も同じくらいであり、法整備も似ているにもかかわらず、日本と韓国の臓器提供には大きな差がある。この差は一体なんなのか、私はとても興味がありました。そして、韓国ではどのようにして、家族は提供に至るのか、その後どのような支援を受けているのか、知りたいと思いました。何とか日程を調整し、20年以上ぶりの海外へ行くことにしました。
まず、思ったのは「臓器寄贈協会」の名称です。臓器「提供」ではなく、「寄贈」なんだと思いました。臓器寄贈協会の皆様は、本業を営みながら、ボランティアとしてこの活動をされています。日韓の貿易関係の仕事をされている方、若者の就職のあっせん、アドバイスをされている方、農産物生産工場を経営されている方と業種はさまざまでした。医療に関係する薬剤、医療機器メーカーの方がいないことが印象的でした。どうしてこの活動をしているのか?と尋ねたところ、「だっていいことだから。もちろん、企業のイメージアップになることとか、人脈が作れることとか、私たちに利点があるの」そのように言われていました。
大学生による移植の普及啓発を行うボランティア団体として新しく設立したとのことで、大学生がシンポジウムの会場設営などの運営を行っていました。
たくさんのボランティア活動によって移植医療が普及啓発されていると感じました。
そして、シンポジウムでは、韓国での移植医療の現状などの発表があり、大変興味深く聞かせていただきました。残念ながら、言葉の壁があり、通訳をしていただきながらの聴講のため、詳しくは理解できませんでしたが、韓国の現状を知ることができました。その後、ホテルの会場で、移植医療の普及啓発活動に尽力された方の表彰があり、そして、ドナー家族の表彰式がありました。どのような基準で選出されているのかはわかりませんでしたが、たくさんの方が、名を呼ばれ、きらびやかな舞台に立ち、記念の盾と花束を手にして、盛大な拍手を受けているてみえました。そのドナー家族の皆様は、とても誇らしい表情をされておりました。
韓国で、ドナー家族の方が何らかのメディアで、報道されるときに「本名でよろしかったでしょうか?」とは聞かれないだろうなと思いました。名を隠す必要など韓国ではありません。ドナー家族はほめたたえる人であり、素晴らしいことをした人たちたのです。
国が違えば、社会が違う、そうすると考え方が大きく違うんだなと感じました。日本では提供する権利、しない権利という考え方がなされます。韓国では、寄贈なので、権利ではありません。「しなくてもいいのに、贈ってくれた」という善意という考え方でしょう。適切ではないと思いますが、募金と置き換えればわかりやすいのかもしれません。『自分が手にしている金銭を困っている人に贈る』その金銭を贈らなくてもいいです。募金をする権利、募金をしない権利と言われるとなんだか違和感がありますね。臓器提供は心からの善意であり、そして社会はそれに応える。
シンポジウムの資金がプサン市から出ていること、また、たくさんの業種のボランティアに参加されていること、臓器寄贈という考えが韓国にはあるんだと思いました。
改めまして、シンポジウムに呼んでいただきありがとうございました。心から感謝いたします。この経験を自身の糧として、精進していきたいと思います。
1999年医療系短大卒業、看護師として総合病院や社会福祉協議会などに勤務しながら、私生活では結婚、二児の母となる。 数年前に夫がドナーとなり、ドナー家族となる。通信制大学に編入し、学びを深め、社会の変化による悲嘆の癒しにくい現状、日本の移植医療、ドナー家族の現状を知り、臓器移植ドナー家族の会の設立に至る。