長期的な支援の必要性

2023年07月19日その他,ブログ

こんにちは

ここのところ、お知らせが多く、なかなか記載できていませんでしたが、今日は長期的な支援の必要性について思うことを記載します。

私は臓器移植委員会に参加させていただいております。その委員会はやはり「ドナーを1例でも増やそう」という考えが基本にあります。救える命を救えていない、移植を待っている患者さんがたくさんいる。臓器提供をしてもいいという患者の意思を守れていない。臓器提供は患者の権利だ。そのような考え方が中心にあり、どうすれば移植数が増えるのかという議論がなされています。

このような議論の流れは、議事録や委員会の配信などをご覧いただければよくわかると思います。

そのよう中で私は、終末期医療の重要性とドナー家族の中長期的、多様な支援の必要性を訴えているのですが、あまり理解されている印象はありません。

先日も、「臓器提供をした家族がわざわざ、お礼を言いに来てくれた」ととある医師が話されていました。ドナー家族の方がどのような思いを持って、医師に言葉をかけたのかはわかりませんが、その医師は「ドナー家族は提供したことをポジティブに捉えている」という認識をしていることは理解できました。「臓器提供は悲嘆にいい影響がある」と考えている方がいることも認識しています。

もちろん、ドナー家族が医療者に感謝していること、提供したことをポジティブ捉えること、そして、悲嘆にいい影響を与えるということも、あると思います。それは疑いようのない事実でしょう。

でも、それだけではないと私は思うのです。その時はそのように思えていても、その思いは変わってしまうこともあるのではないでしょうか。生きているといろんな経験をします。いろんな人と係わります。そのような中でいろんな思いを抱くと思うのです。残念ながら、社会はドナー家族にとって優しいものではないと私は思っています。

その一端を垣間見ることができるのではないかと思う、2017年の裁判をご紹介します。判決文がネット上に公開されておりましたので、リンクを貼りました。

誰が悪いということではなく、傷ついたドナー家族がいるということは事実です。そして、ドナー家族の支援をしているのは、みなさんご存じの通り日本臓器移植ネットワークです。日本臓器移植ネットワークへの信頼を失った彼らを支援を誰がすることができるのでしょう。

このようなことは、ごく稀なケースなのかもしれませんが、稀なケースだから、斬り捨てていいわけではないと私は思います。

提供したことをポジティブに捉え、悲嘆にいい影響があったとしても、提供してからもずっとドナー家族は生きていくのです。その中でどのような経験をするのか、それは誰にもわからないのではないでしょうか。だからこそ、長期的な支援が多様に必要であると私は思うのです。

090745_hanrei.pdf (courts.go.jp)

お知らせです

2023年07月6日お知らせ

こんにちは

今日も久しぶりの更新となりました。

お知らせです。

 

このあとになりますが、

「第64回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会」(WEB会議)

・日 時  令和5年7月6日(木) 14:00~16:00

開催されます。さらに、傍聴をYouTube配信で行います。とのことでした。

 

そして、今月の第三土曜日、7月22日は、家族の会、お気軽なお茶会の開催日です。

参加希望の方が見えましたら、ご連絡ください。話たいこと、聞いてみたいことがある方、ない方でも、どうぞお気軽にご連絡ください。

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くすのきの会 代表米山 順子

くすのきの会 代表
米山 順子

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1999年医療系短大卒業、看護師として総合病院や社会福祉協議会などに勤務しながら、私生活では結婚、二児の母となる。 数年前に夫がドナーとなり、ドナー家族となる。通信制大学に編入し、学びを深め、社会の変化による悲嘆の癒しにくい現状、日本の移植医療、ドナー家族の現状を知り、臓器移植ドナー家族の会の設立に至る。

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