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2021年04月24日ブログ

家族が最期を決めるとき

4月11日午後9時よりNHKスペシャル「家族が最期を決めるとき~脳死移植 命をめぐる日々~」が放送されました。

さまざまなご縁があり、そして私自身、たくさんの思いを抱き、取材を受けました。

心の内を語ること、そして、家族の歩んだ道のりを語ることは、簡単ではありませんでしたが、この機会を得たことを心から感謝し、NHKの制作スタッフ方々のその熱意や誠意にふれられたこと、ともに番組の制作に携わることができたこと嬉しく思います。

(それらのことも、またブログに載せていきたいと考えています。)

 

しかしながら、一番の誤算は、私が私自身の傷の深さを見誤ったことです。

いつもは見ているテレビに自分が映り、そして自分の言葉で語られることの衝撃は想像以上でした。放送直後から、体調を崩しましたが、何が起こっているのかわかりませんでした。ただ、眠れない、食事が喉を通らない、ふいに涙がこぼれてしまう。少し落ち着いてくると、フラッシュバックしているのだとわかりましたが、心がそのころに引き戻されてしまい、家族にも心配をかけてしまいました。ありがたいことに、たくさんの人が私を支えてくれており、精神的にも、体調も徐々に戻りました。

 

自分の体であり、心でありながらも、ままならないものです。

整理のついたことと思っていても、ふいに引き戻されてしまう。

私の抱えるものは、決して誰にも代わってもらうことのできないもので、軽く感じることもあれば、動けないほどに重くなることもある。

このまま、生きていくんだなと思います。

 

私自身、提供されたご家族の決断も、提供されなかったご家族の決断も、そのどちらも胸が締め付けられる思いで番組をみました。

 

いやおうなしに、その決断と生きていかなくてはならなくなるのです。

臓器提供と関わることで、『これでよかったのか』という思いを抱くことになり、つらい悲嘆の道をさらに困難にしているように思えてなりません。

社会の理解が進み、その家族の困難と、生きづらさが少しでも和らぐことを願ってやみません。

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くすのきの会 代表米山 順子

くすのきの会 代表
米山 順子

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1999年医療系短大卒業、看護師として総合病院や社会福祉協議会などに勤務しながら、私生活では結婚、二児の母となる。 数年前に夫がドナーとなり、ドナー家族となる。通信制大学に編入し、学びを深め、社会の変化による悲嘆の癒しにくい現状、日本の移植医療、ドナー家族の現状を知り、臓器移植ドナー家族の会の設立に至る。

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