2021年04月4日 |ブログ
先日、ご縁あって、臓器提供をしないという決断をなされたKさんとお会いし、お話をお聞きする機会を得ました。
三時間ほど、お話させていただきましたが、非常に有意義な時間となりました。
臓器提供をするということは、美談にされ、『善』であると捉えられがちです。
しかし、私自身は、そうではないと考えています。
かりに、臓器提供をすることが『善』と仮定されれば、提供をしないことが『悪』となってしまう危険をはらむからです。決してそうではないのです。
提供しないという決断も、提供するという決断も、どちらも、尊重されるべきです。
どちらを決断しても、その後の苦しみにはかわりはありません。
「これで本当によかったのか」と、長い期間にわたって悩み、苦しむのではないでしょか。
臓器提供について、家族の中で意見が分かれ、その後の関係性に大きく影響を与えることがあります。
本来であれば、支え合うことができる家族に溝を与え、大切な人を失った悲しみを抱えて生きることをより困難にしてしまう。
本当に悲しい現実です。
苦しみや悲しみ、迷いや後悔を見ないようにして、心に蓋をして、生活していくことは、決して容易いことではないでしょう。
臓器提供をしないという決断をされた方の声を聞かせてほしい。
そして、寄り添える場を作りたい。
Kさんにお会いして、そう思いました。
ぜひ、みなさまの声をきかせてください。
1999年医療系短大卒業、看護師として総合病院や社会福祉協議会などに勤務しながら、私生活では結婚、二児の母となる。 数年前に夫がドナーとなり、ドナー家族となる。通信制大学に編入し、学びを深め、社会の変化による悲嘆の癒しにくい現状、日本の移植医療、ドナー家族の現状を知り、臓器移植ドナー家族の会の設立に至る。